個人再生は裁判所で手続きをして、再生計画案に基づく返済方法によって借金返済していくという債務整理方法で、借金を元本からかなり減らせることができるので、借金の減額幅では自己破産の次に強力な債務整理方法です。
そんな個人再生は自己破産のように家が没収されることなく借金を減らすことができるという特徴があります。
自己破産は全ての借金が債務整理の対象になりますが、そのため住宅ローンも借金整理の対象になってしまい、そうなると家を手放すことになってしまいます。
しかし個人再生では住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって、住宅ローンをそのままにして、住宅ローン以外の借金を大幅に減額することができるので、家に住んだままで借金を大きく減らすことができます。
そのため住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することを考えると、個人再生は住宅ローン以外に大きな借金がある場合に効果的な債務整理方法だと思いがちですが、実際にはそうでもないです。
借金が住宅ローンだけの場合でも滞納による巻き戻しが可能
個人再生を利用する場合には住宅資金特別条項(住宅ローン特則)によって住宅ローンをそのままにして、他の借金を減額できるというメリットばかりに注目されがちです。
しかし借金が住宅ローンしかないような状況でも個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することにるメリットは大きく2つあります。
住宅ローンを住宅ローン特則で整理するメリット
- 住宅ローンを滞納していても巻き戻しが可能
- 住宅ローンの返済期間を延長できる
住宅ローンを滞納していても巻き戻しが可能
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用すると住宅ローン以外の借金が減額されるので、住宅ローンが減額されることはないですが、住宅ローンを滞納してしまって、銀行が保証会社から代位弁済を受けてしまっていて、家が差し押さえや競売にかけられてしまう可能性があるような状況に効果を発揮してくれます。
つまり住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって、住宅ローンを滞納していても、代位弁済から6ヵ月以内なら住宅ローンを「巻き戻し」することができるということです。
個人再生で再生計画案が裁判所に認可されると代位弁済がなかったことになります。
住宅ローンの返済期間を延長できる
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、さらに返済期間を最長10年に渡って延長することができるというメリットもあります。
他にも個人再生での返済期間(3年から5年)については元金の一部返済分について猶予される可能性もあり、住宅ローンの返済が厳しいような状況で利用することによって返済負担を軽くすることができます。
住宅ローンで住宅ローン特則を利用したほうがいいケース
個人再生を利用すると住宅資金特別条項(住宅ローン特則)によって単純に家を残ることができるというだけでなく、住宅ローン返済にも十分に役立つ効果があるということがわかったと思います。
では具体的にどのような状況の場合に住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することを検討するといいのでしょうか?下記で例をまとめたので参考にしてください。
住宅ローンで住宅ローン特則を利用したほうがいいケース
- 住宅ローンを滞納して保証会社に代位弁済された場合
- 住宅ローンを滞納しでローンの一括返済を求められている場合
- 銀行が住宅ローンの返済延長に応じてくれない場合
- ペアローンを利用している場合
住宅ローンを滞納して保証会社に代位弁済された場合
住宅ローンを滞納してしまって保証会社に代位弁済されてしまったような状況まで進んでいると、そのままにしていたら家を差し押さえられてしまう可能性があるので、家を残したいと思っているなら早めに個人再生を利用して住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を検討するといいと思います。
個人再生を利用することによって、住宅ローン以外の借金を元本から大きく減らすことができるので、返済負担は十分に軽くすることができます。そして「巻き戻し」によってローンを以前の状態に回復することができます。
そのため個人再生後は住宅ローンを滞納するリスクも減らすことができ、利用を検討するのに十分な理由になると思います。
住宅ローンを滞納しでローンの一括返済を求められている場合
住宅ローンは通常滞納が3カ月以上続くようだと、銀行などのローン債権者にローンの一括返済を求められることがあります。
当然ですが住宅ローンの金額はかなり大きな金額になると思うので、一括返済を求められたとしても返済できるわけはないので、その結果として家を手放すことになってしまいます。
ただ個人再生で住宅資金特別条項(住宅ローン特則)利用することで、一括返済を回避することができます。ただそれまで通りの月々の住宅ローン返済を続ける必要があります。
銀行が住宅ローンの返済延長に応じてくれない場合
住宅ローンの支払いが経済的に厳しい状況になってしまった場合には、銀行に住宅ローンの返済を延長してもらえるように交渉することになりますが、その交渉に銀行が応じてくれない可能性は十分に考えられます。
ただ個人再生で住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって、返済期間を最大で10年間延長することができ、このことについては銀行などのローン債権者の同意が必要ないので、合法的に住宅ローンの支払いを延長することができます。
他の借金との兼ね合いで住宅ローンの返済が厳しいような状況になっているなら十分に利用する価値はあると思います。
ペアローンを利用している場合
ペアローンは1つの家に対して夫婦それぞれが別々に住宅ローンを結ぶという仕組みで、夫婦両方で住宅ローン控除が受けられたり、借りられる金額増えたりするので、共働きが増えてきている現代では利用する人も多くなってきています。
ペアローンで夫婦2人の収入を合算した住宅ローンの場合だと、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって、夫だけで個人再生を申し込むことができます。
仮にペアローンを滞納していたとしても住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって一括請求されても回避することが可能です。
住宅ローンの滞納での住宅ローン特則利用には条件がある
住宅ローンを滞納している状態での、個人再生の住宅ローン特則の利用ですが、条件を満たしていれば利用することが可能です。
何となく住宅ローンを滞納しているような状況だと住宅ローン特則を利用できないのではないかと諦めてしまっている人もいますが、条件次第では利用することができるので、諦めないようにしましょう。
住宅ローンを滞納している場合の住宅ローン特則の利用条件
- 住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用条件を満たしている
- 保証会社の代位弁済から6ヶ月以内かどうか
- 住宅ローンの延滞金を支払うことができる
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用条件を満たしている
当たり前の話ですが、そもそもの住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用条件を満たしてないと利用できないので、まずは根本的な利用条件について満たしているのか確認しておきましょう。
具体的な条件は下記になります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)の利用条件
・小規模個人再生や給与所得者等再生の利用条件を満たしている
・住宅の建築や購入に必要なローンで分割払いであること
・本人が所有して住居用に利用していること
・住宅ローン以外に抵当権が設定されないこと
上記の条件で特に注意が必要なのは「住宅ローン以外に抵当権が設定されないこと」です。
住宅ローン返済中の家を担保にしてお金を借りているような状況だと、抵当権が設定されている可能性があるので、そういった場合にはそもそも住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用できないので注意しましょう。
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個人再生の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは
個人再生は住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することによって、持ち家を手放さずに債務整理することができます。住宅ローンを払っている自宅を残したまま債務整理したいと思っているなら利用尾を検討してはどうでしょうか。
保証会社の代位弁済から6ヶ月以内かどうか
住宅ローンの支払を滞納していると、本人の代わりに保証会社が支払うことになります。このように保証会社が本人の代わりに住宅ローンを返済することを代位弁済といいます。
この代位弁済から6ヶ月間経過してしまっているような状況だと、住宅ローンの債権者が住宅ローン会社から保証会社に変わってしまうことになります。
そのため住宅ローンを滞納しているような場合には、保証会社に代位弁済される前や、代位弁済後6ヶ月間経過してないうちに個人再生の申し立てをする必要があります。
個人再生は弁護士に依頼しても準備などがあり、申立に時間がかかるので、住宅ローン特則を利用する場合には、できるだけ早く弁護士に相談することが大事になります。
住宅ローンの延滞金を支払うことができる
住宅ローンを滞納すると当然ですが、延滞金が発生することになります。
この延滞金は滞納している期間が短い状態ならそこまで大きな金額にはならないと思いますが、滞納期間長くなってしまうと金額が大きくなってしまうので注意が必要になります。
個人再生で住宅ローン特則を利用する場合には、再生計画案を確定させるまでに滞納している住宅ローンや延滞金を支払う必要があります。
再生計画案がどれくらいの期間でできて、それが債権者に提示されるのかは弁護士によって違ってくると思うので、あらかじめ個人再生を依頼する弁護士に相談しておくといいと思います。
住宅ローンを滞納している状態での住宅ローン特則の利用条件については「保証会社の代位弁済から6ヶ月以内かどうか」が一つの問題になってくると思います。
つまり住宅ローンを滞納している期間が長すぎて6ヶ月以上にになっていると利用できないということです。
個人再生を利用する場合には、住宅ローンを滞納しそうなくらいの状況になったら早めに弁護士に相談することが大事になります。
住宅ローンを滞納して払えないなら早めに弁護士に相談しよう
個人再生を利用して債務整理する人の多くは弁護士に手続きを依頼して債務整理することになります。
そのため個人再生を利用する場合には弁護士にあらかじめ相談しておくことが前提になります。
住宅ローンを滞納している状態だと「保証会社の代位弁済から6ヶ月以内かどうか」という条件の影響で、できるだけ早めに個人再生の申立をしないと、住宅ローン特則を利用できなくなってしまって、家を手放すことになってしまいます。
だからといっていきなり個人再生を弁護士に依頼すると、その弁護士の経験や手腕がわからないので、まずは無料相談を利用して、住宅ローン特則を利用しての個人再生が可能なのか話を聞くようにしましょう。
弁護し選びに失敗すると住宅ローン特則を利用できない可能性もある
代位弁済後から6ヶ月間経過してないうちに個人再生の申し立てしないと利用できないという条件は厳しくないのではないかと思う人もいます。
実際に個人再生の場合の申立はすぐにできるのでは?と思う人もいますが、裁判所に個人再生の申立をするには、色々な資料をあらかじめ作成しておく必要があります。
こういったことは個人再生に慣れている弁護士でないと時間がかかるので非常にやっかいです。
つまり個人再生に慣れてない弁護士に依頼すると、個人再生の申立準備のために「代位弁済後から6ヶ月間」という期間を超過してしまう可能性があるということです。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用して個人再生するためにも、住宅ローンを滞納している人はできるだけ早く弁護士に相談しましょう。
早く相談すればそれだけ6ヶ月という条件期間を満たしやすくなります。当サイトでは個人再生に慣れているおすすめ弁護士事務所をいくつか載せているので参考にしてください。