個人再生は借金を元本から大幅に減額することができるので、借金返済の負担は大きく軽くなりますが、自己破産のように全ての借金がなくなるというわけではないので、個人再生後に残った借金は返済していく必要があります。
ただ個人再生の場合だと、任意整理のように利息が免除されるだけでなく、借金が元本から大幅に減らせるということもあり、任意整理の場合と比べると、個人再生後に借金を滞納する事例は多く多くないように思います。
しかし個人再生の場合は借金額が大きい人が利用する傾向にあるので、元本を減額したとしても結構大きな額の借金が残っている可能性があります。
また個人再生は最長5年で借金の完済を目指すので、その5年間の間に収入が減ってしまったり、リストラされたり、病気やケガで働くことができなくなってしまったようなケースだと、個人再生後に借金を滞納することになってしまう場合があります。
個人再生後に借金を滞納するとどうなる?
個人再生後に残った借金を続けていたけど、収入などが減ってしまったりして、借金返済することができなくなってしまい滞納してしまった場合にはどうなるのでしょうか?
個人再生後に借金を滞納してしまうと、個人再生をした際の再生計画案が取り消しになったり、最悪の場合は強制執行で資産や給料が差し押さえられる可能性があります。
再生計画が取り消しになる
個人再生後に借金の返済が滞納すると、これまで弁護士などが苦労して成立した再生計画案が取り消しになってしまうという最悪の結果になってしまいます。
こちらが借金を滞納して取り決めを反故にしてしまったので、再生計画案が破棄されてしまったとしても文句が言えない状況です。
ただ全ての債権者が個人再生の取り消しを求められるというわけではなく、借金の総額で10分の1以上を占める債権者のみに個人再生の取り消しを申し立てる権利があります。
個人再生の場合だと、借金が大幅に減額されているので、そのような状況で個人再生が取り消しになってしまったら、おそらく今後借金を完済するのはかなり難しい状況になってしまうと思います。
最悪の場合は強制執行になる可能性も…
個人再生後に借金を滞納して再生計画案が取り消しになってしまったとしても、借金返済の義務はしっかりとあります。
ただ個人再生をしても返済することができなかったのに、再生計画案が取り消しになってしまった状況だとおそらくそのままでは返済することは不可能だと思います。
借金返済が不可能な状況で滞納が続くと、当然ですが、債権者は資産や給料の差し押さえのために裁判所に申請を出すことになります。
勘違いしてほしくないのは、個人再生後に滞納したからといって、すぐに資産や給料が差し押さえられるわけではないです。
あくまでも簡易訴訟や支払い督促などを経て強制執行が行われることになります。そのため早めに対応すれば強制執行は避けることは可能です。
1回の払い忘れで個人再生が取り消しになるのか?
個人再生後に借金返済を続けていると、うっかりでの支払い忘れで借金を滞納してしまうこともあると思います。このようなうっかりミスでの滞納でも個人再生の取り消し対象になってしまうのでしょうか?
結論を言ってしまうと一回の滞納でも個人再生取り消しの可能性はあります。
第百八十九条 再生計画認可の決定が確定した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。
二 再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと。
とはいってもあくまでも可能性があるというだけで、実際には1回の滞納でいきなり再生計画案が取り消しになるという可能性は低いです。
仮に取り消しにしてしまった場合だと、自己破産されてしまい借金が取り戻せない可能性があります。それよりは1回の滞納には目をつぶってでも返済を続けてほしいというのが債権者の立場になります。
ただ滞納が2回や3回も続くようだと、さすがに債権者の方も黙っていることができないので、2回以上滞納が続くようだと個人再生の取り消しの可能性が高くなると思っておいた方がいいです。
個人再生の支払いが遅れそうならすぐ連絡!
個人再生後に収入状況が変化したことによって支払いが遅れそうになることはあると思います。
そういった場合は前もってある程度把握できると思うので、遅れそうだと思ったらできるだけ早めに個人再生手続きをしてくれた弁護士事務所などに連絡することが重要になってきます。
そのまま連絡せずに滞納を続けると、間違いなく再生計画案が取り消しになってしまうので、なおさら借金返済が厳しいものになってしまいます。
しかしあらかじめ滞納前に連絡しておけば、弁護士事務所の方で対応策を考えてくれたり、ある程度の対応を事前に考えることもできます。
また個人再生での返済が難しくなってしまった場合に、今後どうやって借金を完済していくかという相談も可能になります。
借金はそのままにしていても問題は解決しないので、収入状況が変化して返済が難しい状況になってしまった場合には、できるだけ早めに弁護士に相談することが重要だと思います。
個人再生後に借金返済できない場合の対処法
個人再生後に借金返済を続けたいととは思っていても、経済的な理由で返済が続けられないことは普通にあり得ることです。
特に5年などの長い返済期間で返済しているようなケースだと、その間に不景気になって給料やボーナスがカットされてしまったり、リストラ対象になってしまったりなど経済状況が変わるには十分な年月です。
では個人再生後に借金返済できなくなってしまった場合にはどのような方法による対策が考えられるのでしょうか?
個人再生の返済期間を延長する
仕事を失ってしまったというわけではなく、単純に収入が下がってしまったり、家庭の事情が支出が増えてしまったというような状況の場合には、個人再生の再生計画を最大で2年の範囲で延長することができる措置があります。
ただこの措置はやみくもに利用できるというわけではなく、給料が減ってしまったり、病気やケガで一時的に働くのが難しくなってしまったりなどの、再生計画案を作成した当時では予想できなかったような理由で返済が難しくなってしまった場合に限ります。
そのためギャンブルや浪費によってお金を使いすぎてしまったというような理由ではこの措置は利用できないので注意しましょう。
自己破産の利用を検討する
個人再生の再生計画を延長したとしても返済が難しいような場合だったり、リストラなどによって現在まったく収入がないような状況の場合だと、自己破産の利用を検討するといいと思います。
収入がないような状況だと、個人再生の返済期間を延長しても返済できる見込みがないので、その場合は潔く自己破産を利用して借金をまとめて整理してしまった方がいいです。
自己破産すれば借金返済の義務がなくなるので、借金問題から解放されることになります。
ただ一方で高額資産は没収対象になってしまうので、持ち家や自動車などを持っている場合には、自己破産することによって没収されてしまうことになります。
参照:自己破産とは
まとめ
個人再生は借金の減額幅が大きくて非常に優秀な債務整理方法ですが、滞納してしまうと、せっかく減額できた再生計画が取り消しになってしまって、個人再生が無駄になってしまいます。
個人再生後に、給料が減額されたりなどして返済が厳しくなってしまった場合でも、弁護士に相談して個人再生の返済期間を延ばしてもらうことが可能なので、返済が厳しくて滞納しそうになってしまった場合には早めに相談するといいと思います。
また収入が途絶えてしまった場合には自己破産などの別の債務整理方法も選択の視野に入れることになります。
とはいってもどのような方法が良いのかは、その人の収入状況や資産状況、借金額によっても変わってくるので、一概にどの方法が最適なのかということは判断することができません。
そのため個人再生後に返済が厳しい状況になってしまった場合には、できるだけ早めに弁護士に相談して、どうすればいいのかを相談することが重要になってきます。
下記では個人再生に強い弁護士事務所を都道府県別にまとめているので、借金問題を抱えているなら参考になると思います。